照りつける日差しの中、いざプレイボール
ベスト8をかけた試合が始まる
何年ぶりなのだろうか
僕の記憶にはまったくない
もしかすると初なのかも
相手は修徳、第一シード
最後まで試合ができるのか
相手の先発は背番号が2けた
エースではない
先を見据える修徳はローテーションの関係か、はたまた相手をなめているのか
たぶん後者だ
僕が相手の監督でもそうしたであろう
正直、うちには絶対に負けたくない
1回戦だろうが決勝であろうが負けたくない、うちはそんな学校なのである
常勝校ならば圧勝が義務付けられていた
そこにつけいる隙があったんだ
勝ちを義務づけられ、1発勝負のトーナメントのベスト16
へんなプレッシャーがあって当然なのだ
うちのエースの球をとらえきれない
けして出来がいいわけでない
弱小校はエースが1人で投げきるのが常
中1日が続く4試合目
当然、キレも落ちてくる
それが幸いしたのかはわからないが何とかしのぐ
3点は取られたがビックイニングをあたえることはなかった
もう1本がでないのが修徳に流れをつかませない
野球は流れをつかむスポーツである
試合の流れをつかんだチームが勝つ
対するうちもヒットは出るが点にはならない
先に流れをつかみたい
このままだとヅルヅルいってしまうケースもあり得る
終盤に差し掛かった7回、チャンスが訪れる
相手の交錯プレーで1点を返し、なおもチャンスは続く
ここで詰められると一気に勝ちが見えてくる
が
1点どまり
うちも流れがつかめない
逆に8回相手の堅実な攻撃で1点を追加される
弱小校相手でもおごらずに1点を取りに行く采配
この辺が常勝校なのか
そして最終回
これで最後の夏となるのか
しかし
高校野球にはドラマがある
弱小校のわがチームがここまで勝ち進んだことに対して
高校野球の神様は最大のプレゼントをしてくれた
2連打でノーアウト1・2塁
続くバッターの打球がバットの先に当たりショートへ
「エラーする」
僕の思いどうりショートはファンブル
そしてノーアウト満塁
高校野球はだから面白い
流れはうちに傾いた
頭の中に勝ちがよぎる
でもここまで
神様は勝ちまではプレゼントしてくれなかった
内野ゴロが続き2点を返したが同点まではもっていけなかった
ヒットで点をとることができていたら逆転勝利まで見えたと思う
やはり野球はうまくできている
3-4
彼らの夏は涙で終わりをつげた
そして彼らは負けてヒーローになったのだった
負けた者がヒーローになる
これもまた高校野球の醍醐味なのだ
負けてヒーローになるのか勝ち続け王者をめざすのか
どちらの夏にも同じようにドラマがある
どんなドラマにも負けないドラマが
照りつける日差しの中、球場をあとにした
愛校心のない僕の目にも涙はうかんでいた
僕の夏はまだ終わらない
追伸
ベスト16まで戦ったわが母校野球部に敬意を表したい
最近のコメント